• 2026.10.16 社長コラム

    親にはなかなか伝えられない



    この国の体力を強くする、アルプロンの坂本です。


    連日、U30アスリート支援プロジェクトの面接を行っています。

    先日もまた、心が震えるような素晴らしいお話を聞きました。

    ある女性トライアスロン選手のお話です。

    彼女は幼い頃から、関西弁のお母さんの声が大きく、いつもうるさいなと思っていたそうです。

    そんな彼女が青森で開催された大会に出場した時のことです。

    関西に住んでいるお母さんが、わざわざ青森まで応援に駆けつけてくれました。

    レース中、苦しくてつらい場面で、聞き慣れた大きな声が聞こえてきました。

    お母さんの声援でした。

    幼い頃からうるさいと思っていた、あの大きな声です。

    しかし、その時は不思議なほど力が湧いてきて、大きなエネルギーになったそうです。

    私はその話を聞いて、とても感動しました。

    そこで彼女に質問しました。

    「その気持ち、お母さんに伝えましたか?」

    すると彼女は、

    「いや、恥ずかしくて言えません。冗談まじりに、それっぽいことは言ったんですけど……」

    と答えました。

    私は冗談まじりに提案しました。

    「じゃあ、今日の面接動画をショート動画にしてYouTubeにアップして、お母さんに送ってあげたらどうですか? きっと喜ぶと思いますよ!」

    すると彼女は、

    「いやいや、勘弁してください! 恥ずかしすぎます!」

    と笑いながら断りました。

    もちろん、本人の気持ちは尊重します。

    ただ、私は最後にこう伝えました。

    「恥ずかしいかもしれませんが、手紙でもいいですし、何かの機会でもいいと思います。今のお話を聞いたら、お母さんは本当にうれしいと思いますよ。ぜひ、いつか伝えてあげてくださいね」

    そんなことを偉そうに言っている私ですが、実は私自身も、父や母に面と向かって心からの感謝を伝えることは、なかなかできません。

    恥ずかしいという彼女の気持ちは、痛いほどよくわかります。

    人には簡単に言えるのに、自分ではなかなかできないものです。

    森信三先生は、「成形の功徳(せいけいのくどく)」という教えを説かれています。

    どれほど素晴らしい考えや思いも、頭の中にあるだけでは十分に力を発揮しない。形にしてこそ、その効果が生まれるという教えです。

    感謝の気持ちも同じだと思います。

    彼女に感謝を伝えてほしいと言いながら、実は自分自身に言い聞かせていたのかもしれません。

    私自身も、思うだけでなく、きちんと形にしていかなければならないと感じました。

    素晴らしい気づきをいただき、感謝します。





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