• 2026.08.12 社長コラム

    若い力に任せる②

    若い力に任せる②

    この国の体力を強くする、アルプロンの坂本です。


    先日、致知出版社の藤尾秀昭社長のお話を伺い、「若い力に任せること」の大切さを改めて学びました。

    藤尾社長がまだ30代だった頃のお話です。

    ある日、月刊『致知』の締め切りが迫る中、どうしてもメイン記事にふさわしい内容が見つからず、非常に焦っておられたそうです。

    そんな時、ふと本棚から手に取ったのが、森信三先生の本でした。

    以前にも読んだことはあったそうですが、その日は違いました。

    ページをめくるたびに、言葉の一つひとつが魂に突き刺さり、「こんなにも人の心を震わせる文章があるのか」と衝撃を受けたそうです。

    そして藤尾社長は、「ぜひ森先生に取材したい」と強く思い、先生と親交の深い方を通じてお願いをされました。

    しかし返ってきた答えは、「お断りします。」でした。

    実は以前、別の編集者が森先生を取材したことがありましたが、その記事は先生ご自身が納得できる内容ではなかったそうです。

    それでも藤尾社長は諦めませんでした。

    「あの時は大変失礼しました。しかし私は先生の言葉に心から感動しました。ぜひ私自身が責任を持って取材し、その感動を読者に届けたいのです。」

    その真剣な思いが伝わり、森先生は取材を快諾されました。

    数時間に及ぶ取材の後には、お寿司までご馳走になったそうです。

    藤尾社長は関西での取材を終えると、そのままとんぼ返りで東京へ戻り、心が震えたその熱量のまま、一気に6ページに及ぶ記事を書き上げました。

    そして今でも、その記事を読み返すたびに、「本当によく書けている」とご自身で思うそうです。

    しかし、その後に続いた言葉が、私にはとても意外でした。

    「今の私には、あの記事は書けない。」

    48年間、人間学に命を懸け、経験も知識も圧倒的に増えた今の方が、もっと良い記事が書けるのではないかと思っていました。

    しかし藤尾社長は違いました。

    「あの記事は30代だったから書けた。あの頃の素直さ、純粋さ、そして若さゆえのエネルギーがあったからこそ書けた。40代になると経験や知識が増える一方で、知らず知らずのうちに先入観や固定観念も増えてしまう。」

    その言葉に、私は深く考えさせられました。
    そこから致知と森信三先生のご縁が深まった、まさにきっかけとなった、とのこと。
    若さとは、経験不足ではありません。

    経験では生み出せない、純粋さ、素直さ、そして人の心を動かす情熱という、大きな価値を持っています。

    経営者の役割は、その若いエネルギーを抑え込むことではなく、思い切り発揮できる舞台を用意することです。

    私はこれから、若い人たちの情熱をもっと信じます。

    その力を存分に発揮できる環境をつくり、一人ひとりの可能性を最大限に引き出せる経営者を目指していきます。

    会社の未来をつくるのは、若い力です。

    私は、その力を信じ、任せ、生かし切ります。





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