
原文
ある結婚式に出ましてね。それは学位を持ってる人の結婚式でね。仲人が、ある大学の名誉教授です。その教授が、新郎のことを、「非常によくできる方だ。だが、しかし、少し要領が悪いような、堅すぎるようなところがある」といった。欠点という言葉は使わないが、矢点としてあげているんですね。
私はその場で初めて新郎に会ったんですが、自分の顔を持った人です。いやみのない、落ち着いた自らの表情を持っている。威張ってもおらないし、おじけてもおらない。いかにも、自然ないい顔。これはいい男だ。同時に、これはちょっと堅すぎるだろうと思っていたら、ちょうど思う通りのことをいわれた。しかし、私は長所として、紹介者は、欠点として、それをみた。
それで、私はね、予定していた話を変えて申しました。
「実は今日、新郎と初めてお会いしたが、まず、自分の顔を持っておられることを嬉しく思いました。要領が悪いというようなお話もあったが、いかにも、私の若いときのことをいわれているような気がします。私は四十年間、筋運動の研究をやってきたので、笑っておっても、怒っておっても、その人の本来の表情がよくわかりますが、その点、今日の新郎はいかにも素晴らしく私は心をうたれている。これは四十年間、運動神経をやってきた私がみてのことだから、人相見より、もっと確かです。
要領が悪いかもしらんが、これこそが本物であるということの証拠であって、そこにあなたの魅力があるのです。それはあなたの素晴らしさの証拠であり、決して賢い人の真似をしたり、要領のよさなんて身につけることはない。あなたの要領の悪さということこそが、あなたの生真面目な生の姿なんだから、それを成長させなさい。自分というのを欺かないで、あくまでもそれを成長させなさい。あなたの将来は私が保証します・・・」
みんな、目を丸くして聞いてましたね。でも、これはお世辞でもなんでもなく、私は信念を持っていってるんです。いやぁ、親が喜びましたね。
以上