• 2025.07.13 社長コラム

    「逆体験格差と命名」

    「パパって、学生の時スマホもなかったんでしょ?かわいそう」
    娘に言われて、色々と感慨深く考えた。

    たしかに私が育った島根の高校時代はスマホはなかった。当時スマホがあればどんなに便利で楽しいことが増えただろうか、と思う。連絡先も分からない友人も多く、残念に思うこともある。

    一方で、むしろスマホが無くて良かった事も沢山あるな、と思い直す。

    友達の家に電話をかけるとき、女の子のお父さんが出たらどうしよう…とドキドキした。 でも、そんな緊張もいい経験だったと思う。

    今の高校生が、突然スマホを取り上げられたら、きっと大混乱するだろう。
    ましてや、クラスで一人だけが没収されたら、絶望するほどのストレスになるかもしれない。
    けれど、私たちの時代は「全員が持っていない」のが当たり前だったから、不便だとも思わなかった。

    ドライブをするときは、Googleマップなど当然なく、紙の地図でルートを調べた。
    聴きたい音楽があれば、カセットやMDにダビングして、事前に用意する必要があった。
    でも、それも面倒とは感じなかった。ただワクワクしながら、準備していた。

    そこで自然と身についたのは、段取り力や方向感覚、情報共有、約束に対する意識だった。
    今は、スマホがあればすぐに連絡がつくし、いつでもどこでも情報が手に入る。
    だからこそ、「待たせている人に悪いなあと思う時間」や「いつ来るかわからない誰かを心配して待つ気持ち」といった、心の余白が失われつつある。

    一般に「体験格差」というと、経済的・地域的な差が論点になることが多い。私も体験格差にはできる限り貢献したいと思いジュニアアスリートの支援もしている。

    それ以外でも、時代とテクノロジーの進化によって生まれる“体験の有無”もまた、大きな格差となり得る。

    不便な体験がポジティブになる、私はそれを「逆体験格差」と呼びたい。

    便利さの裏で、体験できなくなってしまったこと。そこには、考える力、感じる力、人と向き合う力があった。 地域の格差も問題となるが、当然に都会の方が全て良いことばかりでも無い。

    その逆体験格差を言語化したとて、経験をしていない娘に腹落ちするレベルで伝える事は難しい。

    やはり、「体験」が重要だと改めて思う。




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