
二宮尊徳(金次郎)が40代の頃、ある荒れ果てた農村の復興を任された時のことです。
尊徳は先祖代々の家まで売り払い、そのお金を村の復興資金として寄付し、自ら退路を断って事業に挑みました。これだけでも凄まじい利他の心です。
その後、村のために必死に働きましたが、それを面白く思わない反対派の役人や、働きたくない住民たちから激しい嫌がらせや妨害を受けます。
心身ともに追い詰められた尊徳は、ある日突然姿を消し、お寺にこもって命がけの「21日間の断食修行」に入りました。
飢えと闘いながら自分自身と向き合い続けた結果、尊徳は一つの悟りに至ります。
「悪いのは相手ではない。彼らを敵だと憎み、自分の力で変えようとしていた私の傲慢さこそ問題だった。この世に敵などいない」
すべては自分の誠意が足りなかったからだと受け止め、エゴ(私心)を完全に捨て去ったのです。
断食を終え、生まれ変わったような姿で村へ戻ると、驚くべきことが起きていました。
尊徳が命がけで祈り、自らを省みていることを知った住民たちは猛省し、すでに心を入れ替えて真面目に働き始めていたのです。
さらに、それまで最大の反対者だった役人のリーダーも、尊徳の圧倒的な利他の心に打たれ、
「間違っていたのは私だった」
と、自ら味方になったといいます。