石破首相は、トランプ前大統領による突然の対日関税通達に対し、選挙中の街頭演説でこう語り、話題になりました。
「なめられてたまるか」
一方、それ以前にアメリカでトランプ氏と直接交渉をした赤沢大臣は、記者団に対してこう語っていました。
「トランプ大統領に直接対話して頂き大変光栄だった。私は格下の格下なのに」
その表情には、高揚感、感激の表情が見えました。確かに、世界中を翻弄する歴史的な人物のトランプ氏との面会だけにその気持ちは良く分かります。
しかし、私は率直に「海外でやりがちな日本人の良くない典型だな。」と感じました。
日本人の謙虚さは素晴らしい美徳です。
一方で海外の方々に謙虚さは、しばしば「弱さ」「付け入る隙」として受け取られます。過剰にペコペコおじきする、愛想笑い等も誤解されがちで気をつけるべきです。
「リスペクトをもって控えめに話す」日本人の美徳が、国際交渉の場では弱さ、としてマウントを取れられるきっかけとなります。
だからこそ、グローバルな交渉の最前線に立つ人間には、その前提を深く理解し、礼節を保ちつつも舐められず、対等なスタンスで議論を進める覚悟とリテラシーが必須です。
その意味で、私達の愛する、誇るべき日本の代表者が「格下の格下」などと嬉しそうに公言することに、私は遺憾、それはイカンと思います。
例え、新入社員であろうと報酬をもらっているなら、間違い無くプロである。
仮に会社から交渉を一任してもらえたなら、相手が人生の大先輩であっても、どんな大きな会社の社長であっても託されたことに自信を持って発言をして良い。もしも失敗したなら任せた自身の責任だと認識し、フォローに動くのがリーダーの在り方です。
日本には「内弁慶」という言葉があります。
内向きには勇ましい言葉を叫んでも、外に対しては物言えぬ――。
相手不在の国内で威勢を示すことよりも、大事な選挙活動を放棄してでも、国益のために首相自ら今すぐ渡米して交渉に動くことの方が絶大な支持につながるはずです。